一つの画面が二つに分かれ、別々の人物や場所が同時に映ります。全部を同じ密度で見ようとすると、かえって何を見ていたのかわからなくなることがあります。分割画面に出会ったら、まず自分の視線がどちらへ向かったかを思い出してみましょう。
最初に目を引いたものを一つ選ぶ
大きな動き、明るい部分、人の顔、文字。何が先に目へ入ったかを、場面の意味とは分けて記録します。左を先に見たから左側が重要だ、とすぐ決める必要はありません。自分が気づいた順番と、作品全体の意味は同じものではないからです。
再生し直せる場合は、二回目だけ反対側へ注意を向けてみます。最初に見落とした動作があれば、それがもう一方の出来事とどう関係しているかを考えます。ただし、見えなかった細部を埋めるために、起きていない動作を想像で足さないようにします。
音がどちらの画面へ導くか
二つの映像があっても、音は片方の人物を追っているかもしれません。話し声が始まったとき、目もそちらへ動いたでしょうか。両方に関係する音楽が流れているなら、それぞれの動きとどう重なって聞こえたかを短く書きます。
聞こえる音の出どころがはっきりしない場合は、「左の音」と断定せず、「左を見ながら聞いた音」として残せます。画面上の位置、音の聞こえる方向、物語の中の発生源は、いつも一対一で対応するとは限りません。
同時に映ることと、同時に起きること
分割画面は同時進行を見せることもありますが、並んでいるだけで同じ時刻だと確定はできません。電話のやり取り、時計、台詞など、時間の関係を示す手がかりがあるか見直します。比較として並べられた映像なのかもしれない、という可能性も残しておきます。
メモには左右それぞれの動作を一行ずつ、その間を視線がどう移ったかをもう一行。三行に分けると、二つの出来事を一つの曖昧な感想へまとめずに済みます。片方しか十分に追えなかった場合も、その見え方を出発点にできます。
字幕から画面へ戻る視線を考えた記事と同じく、鑑賞する側の注意にも動きがあります。今回は画面の分割が、その動きをどう変えたかを見る練習です。両方を完全に把握したかどうかより、何に導かれて見ていたかを言葉にしてみてください。

